一番恐くて嫌なものとは何でしょうか？
それは人によって色々なものがあると思います。一番なりたくない気分というのも、人によって違うでしょう。自分の場合、だるくなることがとてもいやなのです。
だるさと眠気というのは、まことに人間の活力を奪い、生産活動を停止させて勤勉な若者を怠惰なニートに貶める恐ろしい悪魔だと思います。
体温計で測っても熱があるわけではない。もちろん本当に風邪である場合もあるのですが。どこが特別悪いわけでもなく、ただ漠然と日々の疲れが積み重なったり、朝起きるタイミングがずれたりして、治しようもなくただだるい。この状態が実に始末におえない。ちなみに父に聞いたところどうやら自分は低血圧のようです。低血圧の人は朝が弱いそうです。だから自分はだるいのが嫌いなのかも知れません。
それにしても、自分のだるくなった時の動けなさっぷりは、なかなか群を抜いて大したものだと思う時があります。そんなことを言うとだるさの先輩からお叱りを受けるかも知れませんが。それでも、積ん読状態の本は見るだけで苦痛で手にとることなど思いもよらず、宿題や持ち帰りのバイトはそれのことを考えるとだるさが倍増し、肩と首は揉んでも揉んでもバキバキ言って不快な重苦しさとわずかな痛みをもたらし続け、意識は朦朧として視点は定まらない。何か始めたかと思えば何度も読んだマンガを開いたりだらだらとネット遊びにふけって目を痛くしたり、およそ生産性からはかけ離れた行動ばかりをとるようになる。いやはや、こうして書いているだけでも気の重くなるような文章です。
世の中のほかの人々は、もう少し溌剌としているのが普通なのでしょうか。それとも僕は、実はかなり元気な方だったりするのでしょうか。割合としては、だるくなる割合が高い方だという気はします。普遍的に見て自分がまじめか怠け者かということは、時代や地域による基準の違いもあり、一概には何とも言えないかも知れませんが、少なくとも、毎日バリバリと活力的に働いているＩＴベンチャー企業の社長さんなどはそこまでだるいことはないのではないかなあという気がします。もっとも毎日長時間パソコンに向かっているのだから、本当はその人達もだるさと戦っているのかも知れませんが。
「眠い」「疲れた」というのが、僕がだるくなった時に思い浮かぶ魔法の、というより呪いの言葉です。「ネムイツカレタ」という言葉が浮かぶと、それだけで生きる希望が消滅し、アイデアが湧いてこなくなり、なんだかもう何もかもどうでもよくなってきます。時々ちょっとした悪戯として、自分の感じているだるさや空しさを回りにいる全員にコピーしたらどうなるだろうと想像します。みんな僕より強いから我慢して働いているでしょうか？ それとも、その途端にあまりのストレスに耐えかねて路上にぶっ座ったり倒れ込んだりするのでしょうか。そういえば『ケロロ軍曹』で、「五月式エネルギー（メイゾンエネルギー）」という鬱を伝染させるエネルギーが発明されていたことがありました。また、『鋼の錬金術師』では「スロウス」という、凄い力を持つけれど「めんどくせー」が口癖のホムンクルスが登場しています。案外、僕と同じ悩みの持ち主は、プロの漫画家や企業家の人にも多いのかも知れません。
そんなこんなで、ろくな結論も出ないままに、だるい文章を一本書いてしまいました。誰か元気があり余って困っている人がいたら１００ｍｌ１０００円ぐらいで売ってくれないかなあ、などとだるいことを考えています。色々とどうにもダメな感じです。